講座内容・スケジュール

東日本大震災は過去にない規模の被害をもたらし、私たちはあらためて自然災害の恐ろしさを知ることとなりました。19年目となる今年の講座では森林問題、大地・海・地球、あるいは歴史から見た幅広い視点で、有識者の皆さんと一緒に環境問題について考えていきます。私たち市民が自然災害や環境の変化にどのように対処し行動していくか、ヒントとなるようなプログラムを目指し開講いたします。皆さまのご参加をお待ちしています。

7月5日(火)

地球の生命の源泉〜水と森〜

月尾 嘉男 氏東京大学名誉教授

46億年前に誕生した地球に生命が誕生したのは38億年前ですが、それから34億年間、生命は水中でしか生存できませんでした。ようやく4億年前に植物が陸上に進出し、それ以後、陸上で生命が爆発しました。その生命の大半にとって酸素と淡水は生存に必須の物質ですが、それを枯渇させず地球で循環させているのが植物です。
ところが、わずか600万年前に登場した人間が爆発し、その植物を急速に消滅させようとしています。国際森林年の今年、生命の源泉である水と森と人の関係を再考します。

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地球は平均表面温度が15℃で、その7割が水で覆われている類い稀な星です。この星に登場した人類は、地球の歴史では大変な新参者です。46億年とも言われる地球の歴史を1年に圧縮して考えると、1月1日深夜に地球が誕生、1週間経って海ができ、その約1ヶ月後に生命が海の中に誕生します。...

7月12日(火)

最も美しい森林は、また最も収穫多き森林である

速水 亨 氏速水林業代表

世界の原生林は8000年間で3割以下まで減少しました。持続的な森林利用を目指していかなければ、森と共に生きている人々の生活も破壊されてしまいます。木材は植林すれば原生林を伐採しないで利用可能な再生資源です。しかし日本の輸入木材の2割が違法に伐られた木材。国土の25%を占める人工林は本当に機能が低いのでしょうか。適切に管理された人工林は見るものを感動させる芸術です。水を循環させる機能も素晴らしい。そんな美しい森林の話です。

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講座のタイトル「最も美しい森林は、また最も収穫多き森林である」は、ドイツのアルフレート・メーラーという学者が19世紀末に書き記した言葉です。私自身も、見て美しく、そして入って気持ちのいい、さらに木材生産をきっちりできるという森林づくりを目指して林業に携わっています。 では、「美しい森林」とは、どのような森林を指すのでしょう?...

7月26日(火)

森と水〜いのちの神々〜

薗田 稔 氏秩父神社宮司 京都大学名誉教授

現代のわが国には、神道系・仏教系・キリスト教系・諸教系など多くの教団宗教とは別に有史以来の基層的な宗教文化が連綿と生き続けており、一口で「神仏」と言い慣らされてきた宗教習俗があります。それは、教団宗教のように教義と信仰の体系というよりも、むしろ神話と儀礼の体系をもって森と水の豊かな各地の宗教風土を構成し、そこに息づく「神仏」は文字通り「いのち」の霊性として人々の多様な宗教的要請に応えてきています。本講では、日本古来の森林風土を神仏の世界として崇めてきた各地の宗教風土を事例的に紹介しながら、自然環境を宗教文化とした伝統の現代的意義を考えます。

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日本語には「生命」という言い方、そして「命」という言い方があります。「生命」とは、例えば健康などを論じる時、それを一つの有機体、つまりモノとして捉える場合の言い方で、これは「心」を伴ってはいません。一方、心と共にある生命の問題、それが私達が使う「命」という言葉です。...

パート 1 森と水 〜生命の源〜:「国際森林年」である今年、あらためて生命の源である森林の価値、森林と深い関係である水について考えます。日程:7月5日(火)7月12日(火)7月26日(火)

9月6日(火)

火山の驚異と真実

荒牧 重雄 氏山梨県環境科学研究所所長

火山の噴火によっていろいろな災害が発生するのは確かな事実です。一方、火山作用は地球の誕生以来,きわめて重要なプラスの効果を地球環境に与えてきました。火山活動の源は地下のマグマの動きですが、マグマの活動は、生命を育む環境を整えて人類の生活に適した条件を与えるようになりました。火山の噴火は目覚しいスペクタクルで、われわれの好奇心を刺激しますが、火山現象の持つもっと根源的な意味をも深く知ることが重要です。

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東日本大震災は、北海道から沖縄まで全ての都道府県で揺れが記録された未曾有の大規模災害でした。なんと本土から遠く離れた小笠原諸島まで揺れたというほど、スケールの大きなものでした。そのスケールは、年間死者数の推移を見ると、別の観点から理解することができます。...

9月13日(火)

「豊饒の海」であることの意味を考える

北里 洋 氏海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋・極限環境生物圏領域長

日本の周りの海は生物多様性の宝庫です。なぜ日本の海には多様な生物が生きているのでしょうか? 日本列島を巡る海にみられる複雑な地形と海流、そしてその歴史が、生物が育まれる場の多様性を作っています。一方、海洋生物たちはさまざまな環境にさまざまな方法で適応します。海洋表層の植物プランクトンから始まる光合成に基づいた生態系と海底から湧くメタンや硫化水素を利用する化学合成生態系がその代表です。それらがモザイクのように絡み合って、生物の多様さが生まれます。このようにして成立する豊かな生物たちは人類にさまざまな恩恵をもたらしていますが、一方では、人間活動によって海は汚れ、生物に人工物質が蓄積されているのです。

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日本の周囲の海に、どれくらいの種類の生き物がいるかご存知でしょうか。名前をつけられている生物が33,629種類、まだ名前が無い生き物が121,913種類、合計155,542種類いることが分かっています。世界中の海には約25万種類の生物がいると言われていますので、そのうちの約13%が日本の周りにいるのです...

9月27日(火)

「はやぶさ」-地球帰還までの7年間60億kmの運用の軌跡、それを支えたもの

川口 淳一郎 氏宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所教授

はやぶさが実証した地球引力圏外の天体へ着陸し、往復して帰還した宇宙飛行は、人類未到の挑戦でした。はやぶさは、その飛行中,数々の故障や困難に直面したが、プロジェクトのメンバ全員がよくそのミッション目的を共有し、このことが地球帰還の成功へとつながりました。本講演では、小惑星探査のもつ意義、また惑星探査と私たちの生活との関係を述べ、さらに、いろいろな局面で得られた苦心や教訓を紹介し、成果を次世代へつなげる方法などについて述べます。

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星は分子の雲から生まれます。この雲が収縮と同時に回転を始めて円盤状になり、重力が発生することで丸くなっていきます。このようにして分子の雲は星へ成長していくのですが、中には大きくなりきれない微惑星もあります...

パート 2 太陽・海・宇宙 〜自然の驚異〜:大地から海そして宇宙に至るまで、大きな視点で地球の魅力と、地球環境がかかえる課題について学びます。日程:9月6日(火)9月13日(火)9月27日(火)

10月18日(火)

NPO・NGOの台頭と環境政策

小林 光(ひかる) 氏慶應義塾大学大学院教授
藤井 絢子 氏NPO法人菜の花プロジェクトネットワーク代表

リオサミット以降20年間の日本国内の状況変化を見つめると、「NPO・NGO」の台頭という大きな変化があります。社会の変革を促す新たなステークホルダーとしてどのように誕生し、そして影響を与えてきたか、前環境事務次官の小林光氏と、NPOの草分けである藤井絢子氏お二人の対談を通じ、環境政策の歴史とともに振り返ります。

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「このお仕事に就かれた動機は何ですか。」 「私はもともと環境が好きだったことが一番の理由です。当時、環境で給料を貰うとしたら、これしかなかったので環境庁を選びました。実は面接の時、環境で食べていける国づくりをしたいと答えたくらいです...」

10月25日(火)

自然保護の20年

市川 博也 氏国際教養大学教授
横山 隆一 氏公益財団法人 日本自然保護協会理事
小林 光(ひかり) 氏財団法人自然環境研究センター 上級研究員

自然保護に関して、かつては対立する関係とされていた「企業」と「NPO・NGO」。しかしリオサミット以降その関係は徐々に変化し、今日においてはお互いが重要なパートナーとして協働することが日常となりました。行政の立場で自然保護に長く関わられた元環境省自然環境局長の小林光氏、NPOの立場で自然保護活動を実践されてきた日本自然保護協会の横山隆一氏、また企業を束ねる立場で企業の自然保護活動を支えてきた元経団連の市川博也氏3名で対談いただきます。

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「自然保護は、今どんな課題を抱えているのでしょう。」 「一口に水辺といっても海辺もあれば川辺もあり、一つ一つ個別に守られるものではありません。そういったトータルの動きが追いついていないことが、まず挙げられます...」

11月8日(火)

環境ジャーナリストが見た20年

原 剛 氏早稲田環境塾塾長
石 弘之 氏東京農業大学教授
コーディネーター:岡島 成行 氏公益社団法人日本環境教育フォーラム理事長

環境分野のジャーナリストといえばこの人、と言われ長く活躍されている3名にお集まりいただき、ジャーナリズムの立場から環境の20年を振り返ります。国際交渉の動き、日本での政策の変化、企業やNPO・NGOや市民それぞれの行動などを、綿密に取材しそれを人々に伝えてきた経験から、環境分野の過去、現在、未来について対談いただきます。

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「この20年間の自然保護活動を見てきて、どのようなことを感じていますか?」「自然保護が、我々ジャーナリストの取材対象になったのは、高度成長で貯めた富が公共事業につぎ込まれ、それによって凄まじい環境破壊が起こった頃からです...」

パート 3 「環境」の20年 〜リオ+20の節目を前に〜:「環境サミット」と言われるリオサミットが開催されて来年で早20年。節目の年となる2012年には同地で「Rio+20」が開催されます。これまでとこれからの問題解決の糸口を探ります。日程:10月18日(火)10月25日(火)11月8日(火)

10月1日(土)

鎮守の森を歩いてみよう

薗田 稔 氏秩父神社宮司・京都大学名誉教授

古来より日本人が大切にしてきた「鎮守の森」。秩父夜祭で有名な秩父神社「柞(ははそ)の森」を歩きながら、五感で学びます。

10月22日(土)

環境のしごとに就いて ワークショップ

ファシリテーター
青木 将幸 氏 青木将幸ファシリテーター事務所
スピーカー
上田 壮一 氏 株式会社スペースポート
片岡 慶子 氏 NPO法人千葉自然学校
向山 玲衣 氏 NPO法人アサザ基金
横山 昌太郎 氏 NPO法人ピッキオ
大学生・若手社会人の皆さんと一緒に「働くこと」について考える一日です。

11月5日(土)

おとなのソトあそび〜食べる自然体験〜

蓮池 陽子 氏フードコーディネーター

「食べる」を通じて自然の楽しさを再発見しよう。食べるという体験を通じ、環境問題や周囲の自然について、楽しみながら考えてみましょう。

11月26日(土)

今からはじめるネイチャーフォト体験 <女性限定>

森本 二太郎 氏自然写真家

デジカメは持っているし、撮影することも好きだけど、基本技術から学びたい!自然の美しい風景を作品にしたい! という女性対象の体験講座です。