市民のための環境公開講座2018 認識から行動へ。学生から社会人までが参加する学びの場。

2018年度市民のための環境公開講座は全て終了いたしました。来年度のご参加を心よりお待ちしております。

PART3 わたしたちの暮らしをシフトする

レポート

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持続可能な社会の実現 〜イオンの挑戦〜

イオンは企業の成長と社会の発展が両立する、持続可能な社会の実現をめざしています。
昨年から今年にかけて発表したイオンの三つの挑戦「脱炭素ビジョン2050」「持続可能な調達方針と2020年目標」「食品廃棄物削減目標」を中心に、イオンの取組みをお話しします。

金丸 治子 氏

お客様と共に持続可能な社会を実現

金丸 治子 イオン株式会社 グループ環境・社会貢献部 部長


講座ダイジェスト

イオンの願いは、平和な社会・地域の発展・持続可能な世界

イオンの基本理念は、「お客さまを原点に、平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」です。時代が平和だからこそ私たちは事業ができ、地域社会の発展があればこそ私たちの事業が繁栄します。そして、私たちの事業はエネルギーや生物多様性なくして継続出来ません。だからこそ私たちは、それらが維持されるために努力をする必要があるという想いを持っています。そのため、京都議定書がスタートした2008年に発表した「イオン温暖化防止宣言」を皮切りに、数多くの社会課題に取り組んできており、本日は最近発表した中長期目標を中心にご紹介します。

まず、「イオン脱炭素ビジョン2050」…これは、私たちの店舗で排出するCO2を、2050年までにゼロにするというもので、2018年3月に発表しました。空調や照明、そして冷蔵・冷凍ケースが不可欠なため多くの電力が必要な私たちの店舗ですが、その事業を成長させながらCO2を削減するということは大変な困難が伴うものです。しかし、再生可能エネルギーによる電力の契約や自社施設の設置、照明のLED化をはじめとする省エネの徹底で削減に努め、現在、2010年比で35%削減という2030年の中間目標に向けて取り組みを続けています。新たにオープンする店舗には常に最新の省エネ設備を導入し、IoTによる省エネ策も実験中です。最新設備導入で目標達成を目指すモデル店舗「スマートイオン」は平均24%の削減を達成していますが、これをさらにレベルアップさせる「次世代スマートイオン」では50%削減を目標にしています。

また、2017年11月には、EV充電器を国内全イオンモールに設置完了し、EV100に加盟。2018年3月には、事業運営に必要な電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるプロジェクト「RE100」に加盟し、いち早く千葉市にある本社ビルを再生可能エネルギー100%化しました。

また、店舗以外にも私たちが接点をもつ人々、例えば商品物流のパートナーやお客さまなどにもCO2削減の協力を呼びかけ、みんなで脱炭素社会の実現を目指しています。

“自然の恵み”だからこそ、尊重したい

次に、2017年に発表した「持続可能な調達方針2020年目標」について説明します。イオンの事業は自然の恵みなしに成り立ちません。この恵みを次世代に繋げていくため、持続可能性に配慮した商品を調達する必要があります。イオンでは各分野で認証を受けた商品を積極的に扱うようにしていますが、その一方で、認証ラベルを見ても分からないとか、ラベル自体をあまり見ないお客さまが多いのが実情です。そこで、「FISH BATON」という認証を受けた水産物の商品だけを扱う専用コーナーを設けるなどの売り場づくりにも工夫をしています。その他、農産物、畜産物、紙・パルブ・木材、パーム油などで、グローバル基準の認証を受けた商品の調達を推進しています。

さらに資源関連では、「イオングループ食品廃棄物削減目標」も掲げています。廃棄物の削減自体は、管理コストの低減ということもあり以前から取り組んでいましたが、SDGs目標12の5年前倒しして、2015年比で、2020年までに25%削減、2025年までに50%削減というチャレンジングな目標を設定しました。

この取り組みの中で特に重点を置いたのは「見える化」です。何が、どこで、どういう理由で廃棄されているのかを実際に測ることは、削減に大きな効果があります。また、実際には店舗や会社ごとに事情も異なるので、なにがどう違うのか、どう改善すれば良いのか、「見える化」は重要です。その他、期限の長いPB加工商品の年月日から年月表示への変更、開封すればおかず一品をすぐに作れる「まるごと献立キット」やカット野菜などの商品開発も行って食品廃棄物の削減に努めっています。一方、食品残さは堆肥や飼料にして農業・畜産業に循環させるモデルの構築にも取り組んでいます。さらに、お客さまに行動を呼びかける食品ロス削減キャンペーンも行い、小売側だけでなく、みんなで一緒に取り組む体制づくりをここでも行っています。

イオンは木を植えています

イオンは他にも、私たちが関わる社会や地域が持続可能であるために、様々な活動に取り組んでいます。子供たちが各地のイオン店舗を拠点にして環境について学ぶクラブ「イオンチアーズクラブ」、毎月11日に発行する黄色いレシートを、お客さまそれぞれが応援したい地域の活動団体のボックスに投函して頂き、レシート合計額の1%相当の品物をイオンが各団体に寄贈する「イオン幸せの黄色いレシートキャンペーン」、郷土の味や地域食材など各地の地元産品の販売を通じて地域を応援する「食の匠 フードアルチザン」、そして、途上国への経済的自立支援をするためのフェアトレード商品の取り扱いや、アルミ缶や紙パックなど資源の店頭回収も行っています。

また、食物アレルギーに配慮して、家族みんなが一緒に同じごはんを食べるための「トップバリュ やさしいごはんシリーズ」の開発、サービス介助士や認知症サポーターの育成、東北復興支援として被災地ボランティアの派遣や、30万本の植樹を目標にした「イオン心をつなぐプロジェクト」など、様々な社会問題解決のための活動も展開しています。

その中で、イオンの環境保全活動のベースとなっている「イオンふるさとの森づくり」を、最後にご紹介します。イオンの新しい店舗がオープンする際、その敷地内に近隣のお客さまと植樹を行っています。新しいお店とお客さまの接点づくりのセレモニーとしてだけでなく、一緒に木を植えたお子様の成長と木の成長、店の成長が重なり、お客さまにとってもご自身が木を植えたお店として愛着を持ってご利用頂きたいという、様々な想いの中で行っています。そして、植樹活動を通じて、環境保全の重要性を従業員全員が認識することにも繋がる、基本理念の具現化の活動として、大切にしています。現在は植えるに加え「イオン森の循環プログラム」を実施し、森の循環がもたらす自然の恵みを私たちのくらしに役立てる企業でありたいと私たちは願っています。

構成・文:宮崎伸勝/写真:廣瀬真也(spread)