市民のための環境公開講座は、市民の皆様と共に環境問題やSDGsを理解し、それぞれの立場で具体的に行動することを目指します。31年目を迎える本年は持続可能な社会を実現するためにダイナミックな変化が求められている中、さまざまな切り口から新しい“ゆたかな”暮らしを考えていきます。
オンライン講座 無 料

サステナブルな未来に向けて、従来とは異なる“ゆたかさ”の基準でわたしたちのライフスタイルを変えていく必要があります。
エシカル協会代表理事の末吉里花さんと、芸能界屈指の生きもの好きココリコ田中直樹さんをゲストにお迎えし、それぞれが実践している地球や社会などにやさしい暮らし方についてお聞きするとともに、参加者の皆さまと新しい“ゆたかな”暮らしをつくるためのアクションを考える対話型イベントです。

講座ダイジェスト

進行鴨川光(公益社団法人日本環境教育フォーラム)

サステナブルな未来に向けて、従来とは異なる“ゆたかさ”の基準で私たちのライフスタイルを変えていく必要があります。エシカル協会代表理事の末吉里花さんと、芸能界屈指の生きもの好きお笑い芸人のココリコ田中直樹さんをゲストにお迎えし、それぞれが実践している地球や社会などにやさしい暮らし方についてお聞きするとともに、参加者の皆さまと新しい“ゆたかな”暮らしをつくるためのアクションを考えていきます。

末吉里花さんの講義ダイジェスト

進行まずは末吉さんからエシカル消費のことや、地球や社会に優しい暮らし方などをお話しいただきます。

これからの時代に大切なエシカルという考え方

私たちはエシカルな暮らし方が「幸せのものさし」になっている、持続可能な世界を実現したいと考えて活動しています。私たちは人や地球環境、社会や地域に配慮した考え方や行動をエシカルと呼んでいます。良心にかなう行動や考え方といってもいいかもしれません。

エシカルとサスティナビリティとSDGsの関係

私たちはエシカルを哲学のようなものと考えています。そしてエシカルな哲学を持ってSDGsという達成を目指すことで、初めてサスティナビリティが向上するすると考えています。また、私たちはSDGsのなかで、変革や変容を意味するトランスフォームという言葉がとても大切だと思っています。生き物に例えると、さなぎがチョウになるような大胆な変革が求められていると思います。また、社会課題を解決するには、とてもホリスティック(包括的)な視点を持つことも大切と思っています。

エシカルが必要な理由

現在はどこで、誰が、どうやってつくっているのかが分からない商品やサービスが多くなっていると思います。それは皆さんのせいではなく、サプライチェーンが複雑になりすぎたため、商品やサービスの裏側が見えにくくなってしまったためだと思います。その裏側では気候変動や貧困問題、人権侵害(児童・強制労働)、生物多様性の喪失などの問題が起きています。そのことに気づくことが大切です。

エシカルに取り組むには

エシカルとは、エシカルな製品を買うことにとどまりません。私たちは「いきょうを っかりと んがえ」ことがエシカルであると思っています。それぞれが、自分が与える影響をしっかりと考え続けていくことが大事です。エシカル消費を実践するだけでなく、エシカルな製品・サービスを提供している企業を応援することや、消費者としての権利を活かして、企業にポジティブな声を届けていくこと、またオーガニックコットンや野菜などを自分で作ってみることで生産者の気持ちを知る、ということもエシカルなアクションのひとつです。

対談ダイジェスト

進行ここからの時間は田中さんや視聴者にも参加していただき、一緒につくっていく時間にしたいと思います。視聴者の皆さんからは、ご自身が暮らしのなかでどのようなことを気に掛けているのかコメントをお寄せいただきたいと思います。田中さんはご自身は暮らしのなかで、どのようなことに気を配っていらっしゃいますか?

田中僕は生き物を通して地球環境を気に掛けています。海や海の生き物が好きなので、今はアマモを中心とした藻場で暮らしている、海の生き物たちによる炭素の吸収、つまりブルーカーボンや、藻場の再生に興味を持っています。

進行視聴者からもさまざまなコメントが届いています。「エシカルを考えて購入している」という声もありますが、エシカルかどうかわからない商品も多いなか、末吉さんはどのように検討して購入していますか?

末吉ラベルが付いているものは、その時々で必要なものを選んでいます。私たちが全国でエシカル消費動向調査を行なったときも、エシカルを実践している人は、ラベルを目印にしていることが分かりました。同時にラベルの意味さえ知らない人もまだまだ多いので、知らせることが大切と感じています。

進行ラベルの話が出ましたが、MSC認証のアンバサダーを務められている田中さん、MSC認証のことや、消費者に伝えたいことをお聞かせください

田中MSC認証は、持続可能な漁業で取られた海産物の証しです。2018年にアンバサダーになったとき、この50年で海の生き物が50%もいなくなっていることを知って驚きました。このままでまずいと思い、持続可能な漁業による海産物や、そのことを示すマークを世界に広げる活動に取り組んでいます。

末吉そのほかにも持続可能な森林認証のFSCマーク、持続可能なパーム油につけられるRSPOラベルなどたくさんありますね。企業が自社の調達に認証ラベルの原材料などを取り入れることで、生物多様性への配慮にも繋がります。

進行視聴者から「エシカルの対極は欲望でしょうか」というコメントが届いていますが、いかがでしょうか?

田中環境問題を考えるときに「我慢しなければいけないのか」と、欲望を抑え込まないといけない感覚は自分にもあります。でも、MSC認証の認知度や取り組みが進んでいるヨーロッパでは、自分たちの取り組みで未来が大きく変わり、自分たちも健康になり、まわりの人も喜ぶといった具合に、ポジティブに捉えている人が多いようです。

末吉大事なポイントですね。このような取り組みは押しつけがましいものになりがちですが、ポジティブな楽しさを見いだすのも大切ですね。

進行伝え方次第で「もっとやってみたい」「もう考えるのはいやだ」に別れると思いました。

末吉私は日々の活動で「幸せのものさし」を意識しています。例えば田中さんがポジティブに楽しくこういうことを伝えてくれるのもとても大切ですし、MSC認証の魚はすごくおいしいですよね。

田中おいしいです。それに自分で何かしらのエコアクションを起こしたときに、なぜか幸せな気持ちになります。ビニール袋を断ることで温室効果ガスを減らせる量は、0.0000000…1とえぐいほど少ないけれど「僕はいいことできたな」と思えるので、それでいいと思うんです。

末吉自分のモチベーションになりますね。私は「世界にいいが、自分にもいい」のがエシカルだと思っています。ですので、田中さんの気持ちはすごく分かります。

進行視聴しているみなさんからもたくさんの「幸せのものさし」が寄せられています。田中さんのように、まわりの人にポジティブなエネルギーを届けることもエシカルな行為かもしれませんね。

末吉今日はそのことを学びました。また、よく笑うこともエシカルなアクションだと思いました。ところで田中さんは日ごろ、子どもたちとも活動されていますよね。そのときはどのようなことに気を配っていますか?

田中地球のことを考えるきっかけになる、ボールのようなものを投げられるといいと思っています。例えば「おじいちゃん、おばあちゃんがいて、自分もいる。この先もつながっていく」といったつながりを、生き物を通じて面白おかしく伝えることを意識しています。

視聴者からの質問

進行われわれは地球上の実りや、生き物だけで生活していた時代があるのに、何が変わってしまったんだろうと思いました。さて、ここからは視聴者からの質問にお答えください。まずは田中さん、エンターティメントの中でどのようなことに気を付け、どういうメッセージをこめていますか?

田中気持ちが落ちているときは、自分自身が笑えるだけで気分が大きく変わると信じています。番組を見て楽しくなったと言われるだけで、すごく幸せな気持ちになれるので、どうやったらみんなに喜んでもらえるかを意識しています。

進行「SDGsのゴールまで、残り約7年。ポジティブに達成するには何が必要でしょうか」という質問も届いています。

末吉とにかく行動あるのみで、置かれた立場でできることをやっていくことです。やるべきことをやってこなかったから、今の世界になってしまったと思うので、今回は私たちが「やるしかない」と決意しないと変わらないと思っています。

進行「お二人のアクションでまわりが変化した例はありますか」との質問も届いています。

末吉私たちが開催しているエシカル・コンシェルジュ講座で学ぶなかで、行動に移していく人がとても多いと感じています。フェアトレードの店を開いた、エシカルな情報発信メディアをスタートさせた、小学校の給食をオーガニックにする活動を始めた、などいろいろです。

田中3年前に自分の食卓の自給率を上げようと考えて、所ジョージさんがプレゼントしてくれたレモンを育て始めました。その時に一緒に取り組んだマネージャーの家庭菜園では、トマトやパセリなどのたくさんの作物が育ったのに、僕はレモン1個しか採れなかったんです。でもそれが食卓に載った時はうれしかったですよ。

進行「お二人が環境の取り組みをするなかで壁にぶつかった時、何をモチベーションにして頑張っていこうと思われるんですか」との質問も寄せられています。

末吉私は同じ思いを持って、一緒に活動している仲間が一番の支えになっています。たくさん悩みが出てきますが、そのときに相談したり語り合ったり、頑張ろうと言ってくれたりする仲間は大切で、活動を続ける秘訣にもなっていると思います。

田中作物の状況を話し合うだけでも楽しいですよね。それでも進めるのが難しい時は、少し休むことも大切ですね。また歩けるようになったら進めばいいと思っています。

進行最後に視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

田中僕はMSC商品を知っていただきたいと思っています。いろいろな企業が参加してくださっていて、MSC認証の商品が少しずつ広がっています。参加企業をもっと増やしたいと思いますので、ぜひ力を貸してください。

末吉エシカル・コンシェルジュ講座など、ご関心があれば参加してほしいです。また、影響をしっかり考えることを多くの人とシェアし、いろいろな場面で本日のようなことを話題にしていただけるとありがたいです。

進行田中さん、末吉さん、本日はありがとうございました。