小野
まずは自己紹介と、現在のお仕事をお聞かせください。
伝井
この制度の2年目、2001年のインターン生です。派遣先は日本自然保護協会で、主に広報のお手伝いをしていました。現在は東京都御岳ビジターセンターで自然解説員をしています。
山﨑
2007年度に日本環境教育フォーラムで、広報やイベント運営のお手伝いなどをしました。現在は株式会社マイナビで、学生向けのサービスを担当しています。
石塚
2015年度に愛知地区の地域の未来・支援センターに派遣され、関連NPOや活動家のお手伝いなどを経験しました。その後、人材関係の会社を経て、現在は中学の教員をしています。
河合
自然環境復元協会で、環境保全団体と一般市民をつなぐプロジェクトに携わりました。現在は長野県小海町のホテルに勤務し、森林セラピーなどの体験も担当しています。
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小野 芳明さん
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伝井 真弓さん
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山﨑 雄太さん
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石塚 千夏さん
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河合 千尋さん
小野
CSOラーニング制度に参加している間に、印象に残ったことをお聞かせください。
伝井
自然観察指導員講習会を受けたときに、指導員の方が「右と左の森の様子ちょっと違うの、気がつきますか?」などと、ただ歩いているだけでは気づかなかったことを、言葉で促してくれて、気づいたときにすごく感動しました。それがきっかけで「自然と人をつなげる仕事がしたい」と思いました。
石塚
たった1人で、木こりとして森林も川も人々の暮らしも守る活動をしている方と出会ったのが、すごく大きかったと思います。当時の私は「山=自然がたっぷり、めっちゃいいところ!」と思っていましたが「大好きな山は、深刻な問題だらけ」ということを知りました。何よりも大きすぎる問題に1人で立ち向かっている姿を見て「すごく勇気があるな」と思いました。実はインターン修了後に、その方の力になりたいと思って、山に関するクラウドファンディングをしました。そのときにCSOラーニング制度のメーリングリストに流していただいたら、知らない世代もたくさん力を貸してくれました。「自分もちょっとだけ勇気を出せば、知らない人たちが力を貸してくれるんだ」と思ったのが印象的でした。
小野
今の生活の中で、CSOラーニング制度での経験は、どういった面で生きていますか。
山﨑
インターン活動をする中で、多様な立場で環境活動をしている方の話を聞いたり、ワークショップなどに参加する中で、様々な活動を知ることができました。人に伝えていくことへの関心も強まり、現在、会社の中で担当しているマーケティング職にも生かされていると思います。また、いろいろな団体に実際に行って体験した経験が、自己効力感につながったと感じています。
河合
インターン先での体験が今の仕事でのモチベーションや、職業選択に影響していると思います。活動中に自然の中で仲間との対話を通して、自分と向き合うようなプログラムの運営に関わったときに、参加者が「どう環境に関わっていったらいいだろう」と、前向きに考える機会がありました。私もそのような考え方の可能性を、すごく感じるようになりました。今、勤務先のホテルでは、訪れた方々が環境や地域にとって少し優しくなれるような体験を作ろうとしています。そのようなモチベーションをきちんと持ち続けられることが、この制度で得られた一番大きなことと感じます。
小野
皆さんのお話から、制度の理念である「木を植える人を育てる」のように、課題を見つけて自分で行動していく人を育てることに、この制度が非常に貢献していると感じました。次にこの制度が今後もっとよくなるために期待していることや、方法をキーワードとともにお聞かせください。
パネリストの背景には「CSOラーニング制度といえば何ですか?キーワードを挙げてください」というアンケート結果のワードクラウドが投影されました。数が多いものほど大きく表示されています。
山﨑
「連鎖」を考えました。制度の理念をより広めていったり、つなげていったりすることを考えると、大学生時代から「連鎖」を起こして、普段は関わりのない若年層や社会人とも、こういった制度でつながっていくと面白いと思いました。
河合
私は「つながり」です。移住を伴う就職をしたときに、環境などに関心がある仲間と出会う難しさを感じた一方で、つながれたときのエネルギーのようなものを強く実感しました。違う領域でも、ある程度同じ関心を持っている人たちとつながり、一緒に何ができるのか考えられる機会が、この先も続いていくといいと感じています。
石塚
私は「足元から」です。コロナ禍前までは、ラーニング制度を修了した全国の仲間たちが集まる機会がたびたびありました。コロナ過を経てライフステージが変わったこともあり、集まることが難しくなりましたが「将来はCSOラーニング制度で体験したことや、全国の仲間が集まってやっていることを、お互いの家族同士で行えるといい」と話したことがあります。ですので、まずは一番身近な家庭から、CSOラーニング制度で得たことを伝え広めていくことが今後期待したいことで、自分もやりたいと思っています。
伝井
私は「続ける」という言葉を挙げます。25年続くのは大変なことだと思うんです。今ここに約170人の仲間がいて、今日は参加していない方も含めたら1400人近くの卒業生がいるのは、すごいことだと思います。なので、ぜひSOMPO環境財団には50周年、100周年を目指していただきたいと思います。1人の力はものすごく小さいものですが、これだけやる気があり、環境に関心のある皆さんが集まったら、すごくいろいろなことができると思います。
小野
このたび新しくコミュニティ・プラットホームができるので、皆さんもぜひ登録していただき、この制度の一層の発展に協力していきましょう。本日はありがとうございました。