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参考/(旧)公害対策基本法 第二条における公害の定義 「この法律において「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態は水底の底質が悪化することを含む。第九条第一項を除き、以下に同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の低下(鉱物の採掘のための土地の掘さくによるものを除く。以下同じ)および悪臭によって、人の健康または生活環境に係わる被害が生ずることをいう。」 |
・ | 環境の構造または条件がどのように変えられたかという事実と科学的証明。 |
・ | 自然の状態の場合に持っている機能と目的は何で、それがどのように適さなくなったかという判断と科学的根拠。 |
・ | 人間の活動の結果とは何であるかということを特定する。 |
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(1) | 発生源 発生源としては発生施設から大気中への放出(Emission)、排水Effluent、廃棄物Wastes、そして汚染の原因を含む製品が市場に出て、それが消費されることによって環境に影響を及ぼす場合がある。 また鉱山のように採掘すること、建設作業のように作業自体が騒音、振動を起こすこと、地下水の汲み上げによって地盤を沈下させること、自動車、トラック、鉄道、航行、航空機という運輸・交通活動に伴って移動しつつ排出、排水、騒音、振動を周辺に引き起こすという活動もある。また人間、動物には排泄という生理的な行為もある。 対策には排出規制として、排出施設の指定、基準設定と遵守義務、そして立ち入り検査、指導、勧告、命令、罰則適用がある。 排出基準の一つの型として燃料規制等がある。固定発生源については土地利用、立地、配置構造の規制や作業時間等の規制もある。基準としては最も進歩した技術(Best Advanced)、入手し得る最上の技術(Best Available)、実施し得る最良の技術(Best Practicable)という尺度がある。 人口集団に対しては下水道、糞尿処理、清掃のための施設を設置する公的環境基盤整備事業がある。いすれも行政や企業の防止投資とその運営費用が必要となる。運輸交通公害では沿道や空港の周辺整備や港湾の施設整備が必要となる。私は、日本の環境基盤整備状況は、先進各国のなかでは、過去に公的投資の優先順位が低かったため、最も遅れている国の一つであると痛感している。 製品に対しては、質的規制、使用方法についての規制が行われる。洗剤、農薬はこの例である。環境アセスメントは計画の段階で、事前に予測・評価して必要な計画補正を行うための公的な社会手続きである。行政側の作業として重要なのは、データの公表であると私は考えている。 |
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環境調査 環境調査として、汚染物質、現象の分析・測定・常時監視が行われる。その場合、大気、水、土壌、動物、植物という、どの環境媒体を対象とするかを決めなければならない。サンプリングをする地点と時間を意味のあるものとして選定しなければならない。経常的な定点における連続測定と、短期的な詳細調査がある。地形、気象、水文、季節などの配慮も必要となる。また、環境調査は、発生源との関係と影響との関係を関連づけられるようにしなければならない。発生源の正常と異常、環境条件の正常と異常の条件のもとでの分析測定が必要である。 |
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影響対策 最も初歩的、基本的なものは公衆の苦情処理とデータ整理、農林水産被害や産業間公害の紛争処理である。 影響調査には、人間の場合には、インタビュー調査、疫学調査、臨床および動物等の実験などが必要となる。それには専門の調査実験計画をたて、対象グループ(地域)を選定しなければならない。苦情と並んで、新聞、テレビ、ラジオ等も必要な手がかりを得る重要な機会となる。裁判による損害賠償の問題も発生する。行政による和解の仲介の制度もある。 |
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発生源・環境調査・影響対策の一貫対応 この対応には、所要の汚染現象についての濃度と時間と頻度を影響の程度と対比させて組み合わせた判断条件の整備(Criteria Document)とそれに基づく環境基準(Environmental Quality Standards)が不可逆である。内外の最新の学術文献やWHO等の専門委員会報告を定期的に調べて整理しておく必要がある。 発生源や原因となる製品については、発生源施設の工程、原料、エネルギー、用水と排出、排水、廃棄する有害な汚染物質および現象について、産業内の多様な科学技術や経営関係の事実情報をはじめ、国際的動向についても絶えず最新の情報を入手しておく必要がある。 権限、機能、事務をどのように配分するかは行政にとって、組織体制を整備し、関連部門の連絡調整を図りつつ運営することが基本的課題である。鉱害は出発点から通産省の所管として国の直轄であり、地方レベルの事務技術は地方通産局に担当させている。化学物質の指定は、国のレベルで通産・農林・厚生・環境の省庁の所管もしくは共管となっている。原子力関係は、全て科学技術庁で一元的に所管しているが、放射性物質やその工程については、その産業の主管省庁が通常行政を担当している。 公害行政は、地方のイニシアチブで始まったが、発生源・環境調査・影響対策の分野が広がり、高度化し、産業内部および高度の物理・化学・生物・水文等の科学技術や試験・検査能力がなければ行政運営が不十分となるとともに、府県・市別の扱いの差があっては産業や運輸交通に支障を生ずるので、国の省庁で規制法を制定して、あらためて国、都道府県、指定市、市町村の事務配分を定めた。対象施設の指定については、国が行うが、地方の特性のある必要性のあるものについては、独自の施設(種類、規模拡大)ができるように条令との関係を法で規定している。 1970年の公害特別国会以降は、国が全国一律の最低規制基準を定め、地方は事情に応じて対象を拡大したり、規制基準をより厳しくできる原則を法律で定めている。環境庁の設立によって、公害行政はほぼ一元化されたが、自動車の排出基準を製造の時点で強制する規制は、運輸省の道路運送車輌法で行うための条項が大気汚染防止法に設けられている。地盤沈下の地域指定は環境庁が行うが、工業用水やビル用水汲み上げについては、通産省と建設省の行政となる。 公害関係の規制法では、大幅に地方の公共団体または首長に権限委任したり、固有事務化している。電力、ガスの公益事業と鉱業に対する規制は通産省の権限となっている。廃棄物対策は市町村を基礎とした地方自治体の事務として規定し、府県境を越えることや、施設、物質、処理方式等については、国の事務としている。 地球環境関係では、条約批准に伴う対応法を国で制定し、トップダウンの形で地方の事務としての成長が今後の課題となっている。
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◆ | 科学的な確実性と不確実性 |
◆ | 上記1ゆえの判断と認識の多様性 |
◆ | 問題に関係のある人々やグループの利害、政策、イデオロギー、思想、信条等の相違。 |
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環境庁編 | 「環境白書」 | 大蔵省印刷局 |
(社)環境科学情報センター訳 環境庁化学物質対策研究会監修 |
「環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)」 | 化学工業日報社 (1996年6月) |
茅陽一監修 | 「'96/'97環境年表」 | オーム社 (平成7年10月) |
橋本道夫編集 | 「水俣病の悲劇を繰り返さないために-水俣病の経験から学ぶもの」 | 中央法規出版 (2000年9月) |
国際比較環境法センター編 | 「世界の環境法」 | (社)商事法務研究会 (1996年2月) |
橋本道夫著 | 「環境政策」 | ぎょうせい (平成10年10月) |
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