2005年度 市民のための環境公開講座
   
パート1:
環境問題最新事情
第3回:
地球温暖化の世紀を生きる
講師:
小島 敏郎氏
   
講師紹介
小島 敏郎氏
環境省地球環境審議官
1973年東京大学法学部卒業、環境庁入庁。地球環境局長などを経て、2005年現職。気候変動枠組み条約など地球温暖化問題に関する国際諸問題を担当する。
 
 
1.温暖化すると、どうなるか
 

 世界各地で異常気象、森林火災が増加している。先年、フランスでは猛暑に見舞われ、コンフェデレーションカップに出場していたプレミアリーグのサッカー選手が暑さの中でのプレイが原因で、心臓麻痺で死亡した。この年、猛暑が原因で1万人以上のフランス国民が亡くなった。何故このような甚大な被害が出たのかが分析され、ヨーロッパ全体の異常熱波、バカンスによる医者の不在、ヨーロッパでは一般的にエアコンを設置していないこと、など様々な要因が重なり合っていたと考えられた。同じ影響があっても、備えがあるかないかでかなり被害の大きさも異なる。ヨーロッパでは近年、大規模な森林火災やドナウ川の大氾濫など、大きな災害が続いており、異常気象の問題を肌身で感じている。昨年公開された映画「THE DAY AFTER TOMORROW」でも、理論に基づき、予想されうる破局的事例を表している。海洋大循環が止まり、グリーンランドの氷が解けるという現象がおきてしまえば、人間の力では戻すことができないカタストロフィとなる。気候変化による悪影響はここまで行き着く可能性があるということが議論されている。

 
(グラフ:気温の偏差)
(出典)IPCC第三次評価報告書(2001)
 
 また、1000年前から今日までの温度変化のグラフを見ると、この数十年で急な温度上昇が起きているのがわかる。今後も大きく上昇すると予想されている。しかし、確実におこると予測されている気温上昇に対しても、人々は深刻に受け止めていないのが現状だ。温暖化の影響で、1990年から2100年までに平均気温1.4〜5.8℃の範囲での温度上昇の他に、9〜88cmの平均海面水位の上昇、洪水、干ばつの増大、マラリア等の感染症が温帯まで拡大すること、など様々な事象が予想されている。もしこれらの現象が現実となっても、日本では公衆衛生が発達しているので、お金をかけてマラリアの拡大を防止し、ゼロメートル地帯が増えれば堤防の嵩上げ(かさあげ)をする、などの対応をして、被害をできるだけ少なくすることがある程度まではできる。しかし、出来ない国はたいへんな被害を受けるだろう。温暖化は脆弱なシステムに対し大きな影響を与える。例えばバングラディッシュの低地、ネパールの氷河湖、島嶼国(とうしょこく)の海面上昇による地下水の塩害などのことがすでに世界でおきている。また、温暖化による異常気象の発生も予測されている。降雨や寒暖の差が極端になり、これまでの気象データの累積が役にたたなくなってくる。さらに、悪影響が世界全体に広がり、世界経済にも影響してくるだろう。前述したような破局的事象が起これば、地球の中でどれだけの人数が生き残れるかということを考えなくてはならないところまで追い詰められるかもしれない。
 このような破局的事象が起こる前に、それを食い止めようという議論になる。日本でもこのことを他人事ではなく自分達のこととして真剣に考えるためには、世界の状況だけでなく、日本が温暖化により将来どうなるのかという観点からの予測が必要だ。そこで、東京大学と国立環境研究所が予測をしたところによると、まず30度を越える真夏日の年間平均日数が2ヶ月間も長くなり、各地で3〜4ヶ月くらい続くという予測が出ている。これが実現した場合、切迫する問題は暑さより、雨の降り方が変わってしまうことによる影響だろう。しとしとと降る梅雨や秋雨がなくなり、極端な集中豪雨と乾季を繰り返す気象が増えると考えられる。
 
 
2.温暖化対策のゴールは何か
 
 京都議定書の温暖化対策で、日本は二酸化炭素を6%削減しなければいけないことになっている。2005年2月に京都議定書が発効し、実行に移さなければならない。また、京都議定書だけで温暖化は防止できないのは当然であり、約束期間の2013年以降にはどうするのかという議論も始めなくてはいけない。まず先進国が実行し、責任ある第一歩を踏み出そうと、先進国全体で5%削減するということを決めている。その取り組みが目指すゴールを具体化する議論が最近ようやく行われるようになってきた。条約では、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼさない水準で、大気中の温室効果ガス濃度を安定させるということを目的としている。この条約はアメリカ、中国、インドも批准しており、この目標が世界のコンセンサスと言える。温室効果ガス濃度を安定させるということは、地球全体の温室効果ガスの排出量と地球が吸収する量を均衡にする(カーボンニュートラル)ということに他ならない。温暖化による急激な変化に対し、生態系が自然に適応するというのは難しいため、この目標をどのタイムスパンで達成させるかということは、どの生態系までを基準に考えるのかという判断に依る。また、気候変動により、食糧生産が脅かされるという問題もある。現在の日本の食糧の確保は、グローバルな輸出入の構図の中で成り立っているので、日本国内の農業問題だけでは済まない。温室効果ガスの排出抑制と持続可能な経済開発の両立については議論が進んでいるが、生態系の適応、食料供給の問題などについてはまだ社会的に十分議論されていないのではないだろうか。今後それらについての研究成果も随時発表されるだろう。
 
 
3.温室効果ガスの削減
 
 条約の究極目標を具体的な数値で表した温室効果ガス濃度の安定化の水準が決まれば、許容される世界全体としての温室効果ガスの累積排出量の数値を算出することができる。温暖化の具体的な解決策を検討するには、温暖化のメカニズムを逆から考えればよい。まず、温暖化により、我々の生活、食料、経済などにおきうる影響を予測する。そして、その影響を防止するためには、地球の平均気温を何度に抑えなくてはならないのか、その温度に抑えるためには、大気中の温室効果ガスの濃度をどれくらいにしなくてはならないのか、その濃度で安定化をするには、人類が排出する温室効果ガスの量をどれくらいにすればよいのか、またその全体の排出許容量を各国、各セクターがどう分担するかという流れで考えられる。ただし、この予測には、気候感度などの不確実性やタイムラグが含まれる。そのために、社会科学的な観点からの環境のリスク管理が必要になる。例えば化学物質による癌の発生率を動物実験で調べるなど、様々なリスクの確率を抽出・整理し、政策判断に活かしていかねばならない。公害が社会問題となった時代を見れば明らかだが、環境リスクの確率に対しての捉え方、政策判断により、大きな社会的影響が生じる。確率だけでなく、予測されうる事態が実現してしまったときの被害の大きさも重要な判断材料になる。また、温暖化はこれまで先進国が温室効果ガスを排出してきたために起きたことだが、ほとんどガスを出してこなかった途上国がそれに対する備えを持たずに被害を受ける傾向にある。よって、環境リスク管理については、世界的な視野で判断していかなければならない。
 

(グラフ:排出と大気中濃度等との関係)

(出典)IPCC第三次評価報告書(2001)
 

 安定化には、温室効果ガス排出量、ガス濃度、気温、海面水位など様々な観点からの安定化がある。CO2の排出量は近い将来をピークとし、対策を講じた後は持続的に下降させていくことを目標としている。しかし、それが実現しても、CO2の濃度が安定化するまでには時間がかかるため、タイムラグが生じる。よって、気温が安定化するのにも時間差が生じる。さらに、その気温に対応し、熱膨張による海面上昇が安定化するのもかなりの時間を要する。最終的に氷が解け終わるまで海面上昇は続く。
 以上の予測から、濃度安定化のための具体的削減目標の数値を考え、それを実現するために排出経路においてそれぞれ具体策を講じていく必要がある。温暖化対策というのは100年以上先の将来を見越して考えなければならない。ひとまず、今回の条約の究極目標の達成にむけて、日本、EU、アメリカだけでなく、中国、インド、ブラジルも含めた全世界的な排出量を、これからの約20年の間にピークとして、その後は下降に転じさせることを実現する。温暖化対策の成功は今後の20〜40年にかかっている。
 現在、地球上で人為的に排出されている温室効果ガスは、年間約63億トンで、そのうち半分くらいが海、土壌、植物に吸収され、残りの半分が大気中に残っている状態だ。また、排出量は増え、自然による吸収量は減る傾向にあるので、濃度はますます高まる一方だ。具体的な濃度の数値は、産業革命の時代が280ppm、現在は370ppm後半である。将来的な濃度の上昇を550ppm以下に抑えようという意見が現在一般的である。
 EUでは、今年の2、3月にEU首脳会議が行われた際、温暖化対策の長期目標について、政治レベルで合意した。また、3月に行われたEUの環境大臣会合では、目標となる温度上昇を2℃以下に抑えるには、大気中温室効果ガスを550ppm以下で安定させる、20年以内に、世界の排出量を減少に向かわせ、2050年までに90年比で15〜50%もの削減が必要だと議論した。科学根拠や長期目標設定の国際的な議論へのコンセンサスはこれからだが、どこへ向かって温暖化対策をするのか、「ゴール」について議論しようという機運が次第に高まってきている。

 

(グラフ:全世界のCO2排出量の内訳(国別))

(出典)米国オークリッジ研究所
 

 全世界のCO2排出量の国別内訳を見れば、誰が削減しなくてはいけないのかということがわかる。200近い国の中で、上位から15カ国とEU25カ国を合わせて40カ国で世界の排出量の84%を占めている。また、最後の1%弱に90カ国が固まっている。これがいわゆる後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)や島嶼国(とうしょこく)である。しかし、前述したように、このような国々は、温室効果ガスをほんのわずかしか出していないのに、結果的に脆弱なシステムのために温暖化の被害を甚大に被ることになる。温室効果ガスの削減は、大量に排出しているところが減らさなくては効果が現れないので、84%を占める上位の40カ国が対策に参加していかなくてはいけない。この40カ国には、中国、インドだけでなく、サウジアラビアや南アフリカ、ブラジル、イランも含まれ、それぞれに多様な事情を抱えている。イギリスでは、温暖化対策の議論にブラジル、インド、中国、南アフリカなどの途上国も招いて議論をした。これらの国々は安全保障理事会の常任理事国か、その候補でもあり、そういう国が温暖化対策にもしっかり取り組むべきだという意思を、その顔ぶれから感じた。国際的な合意を得ていくためには、様々な観点からのアプローチがより必要となる。
 今後、途上国からの排出量は増加し、先進国を上回ると予想されている。このことからも、先進国がまず削減を実現する必要があるが、気候変力による甚大な被害を避けるためには、先進国、途上国を問わず大量排出国が大幅な削減に取り組まなければならないと考える。条約の時にも議論されたが、現在の温室効果ガスの蓄積というのは産業革命以来のもので、先進国が排出してきたものだとか、地理的に途上国から出ているものも先進国の利益のために収奪した結果だと主張している国もある。このような責任に関する議論はいまだタブーとなっているが、実際に経済発展と温室効果ガスの削減を両立させる能力は先進国にあるので、まず先進国が先行して実施し、そのやり方を提示するべきだ。それが第一歩としての京都議定書の役割だ。また、インドや中国などの人口の大きな大国は、人口一人当たりの排出量を同じにするというのが究極的な公平さだと主張している。各国のCO2排出量の総量を人口一人当たりで表せば、インドの排出量はかなり少ないことになる。しかし、気候変力の影響は排出された温室効果ガスの量、大気中に蓄積された温室効果ガスの濃度による。先進国から排出された温室効果ガスも途上国から排出された温室効果ガスもその効果に違いがあるわけではない。よって、京都議定書以降の国際的な取り組み温室効果ガスもその効果に違いがあるわけではない。よって、京都議定書以降の国際的取り組みではインドや中国も削減に取り組まなければならないが、このように各国の事情、主張が入り混じり、国際的合意を得るのは容易ではない。

 
 
4.温暖化への適応策とは?
 
 気候変動問題に対し、緩和と適応、それぞれの側面から対策が必要だが、ポスト京都と言われる2013年以降の対策の焦点の一つは適応策である。この問題の対策としてまず必要になる温室効果ガスの削減・吸収源の確保は、温暖化による気候変動の影響を緩和する対策と呼ばれている。温暖化は避けられないが、その程度を緩和しようということだ。全世界的な観点から考えると、京都議定書の目標達成後も温室効果ガスを削減し続けていかなければ緩和にもならない。よって、6%削減と同時にその先の準備を今から始めなければならない。その最終的な目標として、ヨーロッパでは「低炭素社会」、日本では「脱温暖化社会」を掲げている。具体的には、活動量の最小化、省エネルギー製品の普及、炭素集約度の低いエネルギーを活用する、などの3点を実行し、尚且つ国民生活や経済社会が成り立つ社会を今後の20〜30年でどのように構築していくかが課題となる。
 現在平均気温の上昇の幅をどれだけ抑えられるかということを議論しているが、すでに地球の温度上昇はもう避けられないという前提に立っている。つまり、もう一つの対策として、温度が上がることを前提に、人類は気候変動のおこった環境に適応しなければいけないということになる。適応策は、脆弱なシステムの途上国だけでなく、全世界で必要だ。日本の都市、河川、堤防、山、農業などのすべてのインフラ整備は、これまでの気象条件を基に行ってきたが、今後異常気象が恒常化することを前提として、これから日本の国土を考え直さなければならない。例えば、現在、渋谷は雨が降ると水溜りになってしまうが、気象変化が如実になれば、あらゆる場所が同様に水浸しになるだろう。山でも例えば1時間30ミリを目安に対策を講じている所で、1時間100ミリも雨が降ることが当たり前になってしまうと、治山治水の方法も変えなければならない。また、農作物の生育環境も、温度や雨の降り方の変化に対応させていかなければならない。中期的に20〜30年先を考えた国土のインフラにも今後は今までとは違う発想で着手していかねばならない。特に、気温上昇は不可避であり、この現実を受け入れて、温度上昇に適応する対策を打っていかなくてはならない。2013年以降の交渉ではこの「適応対策」が一つの柱となると考えている。
 
 
5.京都議定書の発効
 
 京都議定書には、200弱の世界のほとんどの国が締結している。温暖化対策の究極目的を実現するための今後の道のりは簡単ではない。今後の気候変動問題に対する国際的な課題は、まず第1に京都議定書を確実に履行することである。温暖化対策に先進国がまず取り組み、排出量削減を実現すると主張しているが、実際には先進国の排出量は現在も増えている。本当に確実に履行されるのか、先進国が履行できないのに途上国へ課題を義務付けるのはお門違いだという途上国の主張もある。しかし、人口大国のインド、中国にも参加してもらわなくては温暖化の歯止めにはならない。よって、京都議定書を、日本を始めとする先進国がしっかり実行し、約束を果たすことが最も大事だ。次に、京都議定書達成後、2013年以降の国際枠組みの合意形成が大事だが議論が紛糾している。日本が早くその方針を示し、国際社会をリードすべきだと言われているが、実際には国際交渉は、途上国の温暖化対策参加も含め、対立、難航している。このことを議題として協議していくためにも、現段階では途上国と先進国の信頼を醸成していかなければならない。
 地球温暖化問題は、既に楽観していられない状況であり、現実的な将来のことを考えれば悲観もしていられない。究極目標に関する科学的・政治的合意という議論もこれからの課題だ。IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の第四次評価報告書が2007年に出る。今年のG8サミット(主要国首脳会議)で、イギリスはアフリカの問題と気候変動の問題を取り上げている。それに先立ち、科学者会合が2月に開かれた。そこでは第三次報告書から第四次報告書までの中間的・科学的な知見が紹介され、第三次報告書で指摘していた以上に、現在の温暖化の進行は早いということ、海洋大循環のスローダウン停止という兆候が21世紀中にも起こりうることなど、様々な研究成果が報告された。これまで、海面上昇といえば、干拓地の国、オランダの被害が特に想定されてきたが、もしグリーンランドの氷が溶け始めたら、ヨーロッパ全土が他人事ではなく、これまで造り上げてきたインフラが崩壊してしまうだろう。地球の気候システムも、人間が努力してももう元に戻せないという状況になる。おこらないと思っていたことがおこるかもしれないという状況が差し迫っている。京都議定書は温暖化対策のゴールへ向かうための第一歩であり、とにかくこれをきちんと達成しなければ第二歩目に移れない。
 京都議定書で、日本はこの5年間で6%の温室効果ガス削減を目標としており、京都議定書目標達成計画が閣議決定したが、実は京都会議に臨んだときの政府方針と枠組みは基本的に変わっていない。1997年の京都会議の時に日本は、温室効果ガスであるCO2、メタン、一酸化二窒素の3ガスを0.5%減らすというポジションで臨んだ。これは、エネルギー起源CO2についてはプラスマイナスゼロという計算である。また、この時日本は、森林吸収源はカウントすべきではない、京都メカニズムも反対、目標は各国で差異化すべきだと主張していた。この問題については、アメリカやEUもそれぞれ違う見解を示し、各国の主張が入り乱れていた。結局、日本の主張であった目標の差異化が決まり、アメリカの主張で吸収源と京都メカニズムも残った。しかし、日本の目標が当初の目標よりもずっと高い、マイナス6%になったので、削減の間に合わない分は日本として反対していた吸収源と京都メカニズムに取り組むことでカバーしようということになった。結局温室効果ガス排出の削減目標については当初から全く動いていない。つまり、マイナス6%の内訳は、削減が0.5%、残りの5.5%は森林吸収源と京都メカニズムで対応するということである。今回の見直しで変わったのはガスの中身である。排出源が限定できるガスについては対策が進んでおり、当時フロンガスが温暖化にとって重大な問題だと言われていたが、フロンの関係業界の努力もありすでにかなり減少している。一方、エネルギー起源CO2は、京都会議の時にプラスマイナスゼロにしようと考えていたが、現状ではそれも難しくなっており、プラスの0.6%に修正しようとしている。京都議定書で日本が引き受けた6%は重すぎる課題だと一般的に考えられる傾向もあるが、実はガスの排出削減については全く方針が変わっていない。2002年度の排出量と今度の目標を絶対量で比較すると、産業部門、家庭部門、その他部門でそれぞれ3000万トンの削減しようという計画になっている。各部門でそれぞれ取り組み、努力しなければ目標を達成できない。
 
 
6.楽しく温暖化防止を始めよう
 
 昨年ロシアが京都議定書を批准し、京都議定書が発効した。議定書の発効を受けて社会的気運が高まり、環境省だけでなく様々な方面も温暖化対策に本気になってきた。現在財政再建のプロセスで、全体的に予算をカットしようという傾向にある中、国民運動への予算も財務省に認められ、環境省としては破格の30億円という金額が充てられた。今回の温暖化対策国民運動キャンペーンは様々な方面から注目されている。NGOも交え、経済界とも連携して、集中キャンペーンを行い、温暖化対策の認知度を高めたい。この国民運動は、認知だけではなく、非常に野心的な目標を定め、国民の20人に1人が新たに具体的な温暖化防止行動を開始するという、普及啓発活動としては珍しく、知識を行動に結び付けようというものである。20人に1人、つまり国民の5%、500万人くらいを対象として想定している。また、今回の京都議定書の目標達成計画を様々なセクターで連携してやろうというのが一つのテーマだ。その連携のひとつの案が「チームマイナス6%」である。様々な使い道が考えられ、6月にはいくつかの企業がこのロゴマークをメディアに載せ、政府のPRと同時に展開をする運びになっている。このキャンペーンは政府の資金だけでなく、企業にもチーム員として広告費投入して欲しいと考えている。
 温暖化防止は長丁場で取り組まねばならないので、ねじり鉢巻で一気にやろうとすると疲れてしまう。また、途上国にも今後参加してもらわねばならないので、そのようなきついやり方では付いてこない。環境と経済は両立させなければならないし、国民にも豊かで楽しく温暖化対策をしてもらいたい。先進国の取り組み方や結果を見て、途上国も自分達も参加しようと判断していくことになるだろう。温暖化防止は楽しくやりたいと考えている。